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自己破産の論点整理

自己破産の論点整理です(随時増やしていく予定です。)

A
破産手続開始原因 立法例 ㋐列挙主義:個別的な債務者の行為を列挙する。
㋑概括主義:債務者の資力不足を示す一般指標を採用(日本)
規定 第15条(破産手続開始の原因) 
債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
第2条(定義)
11 この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。
第16条(法人の破産手続開始の原因)
債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。
2 前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。
管轄 専属的であり(6条)、かつ職分管轄については地方裁判所の管轄(法5条)。
複数の裁判所に管轄⇒先に破産手続申立をした裁判所に専属管轄(法5⑩)。
土地管轄 債務者が営業者⇒主たる営業所の所在地等を管轄する地方裁判所。
債務者が営業車でない⇒第1:債務者の住所、第2:居所、第3:最後の住所地(法5①、民訴法4②)
複数関係者 ①連帯保証人間、主債務者と保証人及び夫婦の場合:
互いに連帯債務者の関係にある個人や、主債務者と保証人の関係にある個人の場合、そして夫婦の場合には、一方の個人について破産事件が係属している裁判所に対し他方の個人の破産手続開始の申立てが可能。(法5⑦)

債務の発生原因が共通している場合が多い。
破産法第5条
7 第一項及び第二項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者のうちいずれか一人について破産事件が係属しているときは、それぞれ当該各号に掲げる他の者についての破産手続開始の申立ては、当該破産事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
一 相互に連帯債務者の関係にある個人
二 相互に主たる債務者と保証人の関係にある個人
三 夫婦
②法人と代表者の場合:
法人とその代表者の場合にも、一方について既に破産手続等(再生手続や更生手続を含む)が係属している裁判所に他方の破産手続開始の申立てをすることもできる。(法5⑥)
破産法第5条
6 第一項及び第二項の規定にかかわらず、法人について破産事件等が係属している場合における当該法人の代表者についての破産手続開始の申立ては、当該法人の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができ、法人の代表者について破産事件又は再生事件が係属している場合における当該法人についての破産手続開始の申立ては、当該法人の代表者の破産事件又は再生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
③親子会社等の場合:
親会社と子会社又は孫会社(総株主等の議決権の過半数を有する場合)等の関係にある数法人に関して、1法人について破産手続、再生手続が係属している裁判所に他法人の破産手続開始の申立をすることを認めている。(法5③④)
同様に大会社とその連結子会社に関しても同様の扱いを認めている。
破産法第5条
3 前二項の規定にかかわらず、法人が株式会社の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。次項、第八十三条第二項第二号及び第三項並びに第百六十一条第二項第二号イ及びロにおいて同じ。)の過半数を有する場合には、当該法人(以下この条及び第百六十一条第二項第二号ロにおいて「親法人」という。)について破産事件、再生事件又は更生事件(以下この条において「破産事件等」という。)が係属しているときにおける当該株式会社(以下この条及び第百六十一条第二項第二号ロにおいて「子株式会社」という。)についての破産手続開始の申立ては、親法人の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができ、子株式会社について破産事件等が係属しているときにおける親法人についての破産手続開始の申立ては、子株式会社の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができる。
4 子株式会社又は親法人及び子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該親法人の子株式会社とみなして、前項の規定を適用する。
自己破産と強制執行
(6民運用参照)
破産開始決定⇒不可・効力を失う・中止

破産手続き開始とともに、個別的権利執行は禁止される。(法100①)
破産手続開始後の強制執行開始できない(法42①)。
破産手続開始前からの強制執行も破産財団に対する関係で効力を失う(法42②)。

免責審理期間中の強制執行の禁止:
免責許可の申立てがあり、かつ、同時破産手続廃止決定(法216①)、異時破産手続廃止決定(法217①)、配当終結決定(法220①)があったときは、免責許可の申立についての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行等、破産債権に基づく財産開示手続の申立て又は破産者の財産に対する破産債権に基づく国税滞納処分はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続で破産者の財産に対してすでになされているもの及び破産者についてすでになされている破産債権に基づく財産開示手続は中止する(法249①)。 

免責確定 免責許可決定確定の効果として、破産者は、破産手続きによる配当を除き、破産債権についてその責任を脱がれる。
(法252⑦、法253①)
破産法 第252条(免責許可の決定の要件等)
7 免責許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。
破産法 第253条(免責許可の決定の効力等)
免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。
免責不許可事由 意図的に破産債権者を害する行為をしたとみなされる類型 ①不当な破産財団価値減少行為(法252①(1))
②不当な債務負担行為(法252①2)
③不当な偏頗行為(法252①3)
④浪費または賭博その他の射幸行為(法252①(4))
⑤詐欺による信用取引(法252①(5))
⑥帳簿隠滅等の行為(法252①(6))
⑦虚偽の債権者名簿提出行為(法252①(7))
破産法上の義務の履行を怠り、手続きの進行を妨害する行為類型 ⑧調査協力義務違反行為(法252①(8))
⑨管財業務妨害行為(法252①(9))
⑩その他の義務違反行為(法252①(11))
免責制度にかかわる政策的事由 ⑪7年以内の免責取得の事実:以前の免責許可の決定の確定の日から7年以内に免責許可の申立てがあったこと。(法252①(10))
復権 復権とは 破産手続開始に基づいて破産者に発生する人的効果、すなわち各種の資格あるいは権利についての制限を消滅させ、破産者の本来の法的地位を回復させること。(法255②) 
当然復権 ①免責許可決定の確定(法255①(1))
②同意破産手続廃止決定の確定(法255①(2))
③再生計画認可決定の確定(法255①(3))
④破産手続開始後10年の経過(法255①(4))
申立による復権 破産者が破産債権者全員に対する債務についてその責任を免れた場合。(法256①)
廃止 法人の場合 同意破産手続廃止⇒法人解散の手続がとられる。(破産法219条)
異時破産手続廃止⇒破産手続開始に基づく解散の効果が存続する。
(一般法人148(6)、202①(5)、会社法471(5)、641(6)等)
その後残余財産が発見された場合、解散法人について清算手続を行う必要。(一派法人206(1)かっこ書、会社法475(1)括弧書、644(1)括弧書等)
株式会社が破産⇒株式会社と取締役との間の委任関係が終了(会社法330条、民法653(2))⇒従前の取締役は清算人となりえず、株主総会において新たに清算人が選任されるか(会社法478①(3))、利害関係人の請求によって裁判所が清算人を選任。(同条②)
取締役の破産 会社法 第330条(株式会社と役員等との関係)
株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

民法 第653条(委任の終了事由)
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
会社法330条によって会社と取締役との関係は委任⇒破産手続開始決定により、取締役を退任(民法653条2号)。
破産手続開始決定を受けた者を新たに取締役に選任することは可能。
(株主総会の判断に委ねる
受任者の破産によって委任が終了しない旨の特約は有効(通説)。
←破産者であっても他人の事務を処理することはできる。(注釈民法16p296)
賃借人の破産

賃借人の破産管財人は賃貸借契約について履行の請求または解除を選択できる。(法53条)
借地契約→破産管財人は履行を請求し、借地権の譲渡を目指す。
借家契約→敷金を現実化して破産財団に組入れるため、解除を選択。

賃借人が破産し、賃貸借契約が解約されることなく存続→賃料請求権は財団債権となる。(法148条1項7号)
賃借人が破産し、破産管財人が解約しても、ただちには契約が終了しない場合がある。(民法617条1項、借地借家27条1項)
その場合には、破産手続き開始後契約終了までに生じた相手方の請求権を財団債権とする。(法148条1項8号)
相続人の破産 破産手続き開始前に承認や放棄がなされた場合:
破産債権者がその効果を覆すことは認められない。
単純承認や放棄が破産債権者の利益を害する場合であっても、否認の対象とはならない。
破産手続開始前の相続に基づいて開始後に破産者による承認や放棄がなされる場合:
単純承認について限定承認の効果を認め、放棄についても同様の取扱いをする。(法238①)
破産管財人は、相続財産を破産財団所属財産と分別管理し、相続債権者については相続財産から、相続人債権者については固有財産から配当を行う。(法242①③、240④)
離婚と破産 財産分与 「一般債権者に対する共同担保を減少させる結果になるとしても、それが民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してなされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為として、債権者による取消の対象となりえない。」(最高裁昭和58.12.19 H12.3.9)
慰謝料 離婚に伴う慰謝料として配偶者の一方が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額を支払う旨の合意は、右損害賠償債務の額を超えた部分について、詐害行為取消権の対象となる。(最高裁H12.3.9)
財産分与、慰謝料として相当な範囲であれば、有害性はあっても不当性はない。

破産管財人としては、財産分与、慰謝料として相当な範囲のものであるか否かを検討し、それを超えるものについては、否認権の行使を検討する。
養育費 養育費は要扶養状態の存在により日々発生する権利であり、破産手続開始決定後に日々発生する部分は、手続外債権であり、それは、将来の養育費の額が、審判等で決定されていても同様(大阪地裁)
養育費の一括払として支払われたものについては、特に一括払が必要であるという特段の事情がない限り、養育費として相当な範囲を超えたものとして、否認権の行使を検討すべき。
破産債権と財団債権 意義 破産債権:破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権で、財団債権に該当しないもの。(法2⑤)
財団債権:破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けるkじょとができる債権(法2⑦)
財団債権の種類 ①破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権(法148条①(1))
②破産財団の管理、換価及び配当に関する費用の請求権(法148条②(2))
③破産手続開始前の租税等の請求権(法148条①(3))
④破産財団に関して管財人がした行為によって生じた請求権(法148条①(4))
⑤事務管理又は不当利得により破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権(法148①(5))
⑥委任の終了又は代理権の消滅後、急迫の事情があるためにした行為によって破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権(法148①(6))
⑦未履行の双務契約について管財人の履行選択により相手方有する請求権(法148①(7))
⑧破産手続の開始によって双務契約の解約の申入れがあった場合において破産手続開始後その契約の終了までの間に生じた請求権(法148条①(8))
⑨管財人が負担付遺贈の履行を受けたときに、その負担した義務の相手方が有する当該負担の利益を受けるべき請求権(法148条②)
⑩保全管理人が権限に基づいてした行為によって生じた請求権(法148条④)
⑪民事再生手続上の共益債権(民再254条⑥) 
⑫会社更生手続上の共益債権(会社更生254条⑥)
⑬破産手続開始決定の時点で既にされていた強制執行等を管財人が続行した場合の手続費用の請求権(法42条④)
⑭破産者を当事者とした訴訟が中断し、管財人が受継した場合の相手方の訴訟費用償還請求権(法44条③)
⑮債権者代位訴訟、詐害行為取消訴訟が中断し、管財人が受継した場合の相手方の訴訟費用償還請求権(法45条③)
⑯管財人が双方未履行の双務契約を解除した場合に、破産者が受けた反対給付が破産財団に現存しない場合の価額償還請求権(法54条②)
⑰継続的給付を目的とする双務契約の相手方が、破産手続開始の申立て後破産手続開始前にした給付の請求権(一定期間で算定する場合には、申立日の属する期間分の全部を含む。)法55条②
⑱異議を主張した破産債権者が査定申立てないし確定訴訟で勝訴した場合の訴訟費用償還請求権(法132条)
⑲ 債権者委員会に貢献的活動があった場合に、その費用を支出した破産債権者の費用償還請求権を財団債権とするとの許可を得た場合の請求権(法144条④)
⑳社債管理会社等の費用報酬請求権を財団債権とする許可がされた場合の請求権(法150条④)
21 破産者の行為が否認された場合の反対給付が財団に現存しない場合の価額償還請求権(法168条)
租税債権  財団債権

① 破産手続開始前の原因により発生した租税等の請求権で、手続開始当時、納期限が未到来又は納期限から1年を経過していないもの。(法148条①(3))
② 破産手続開始後の原因により発生した租税等の請求権で、財団の管理、換価及び配当に関する費用に該当するもの。(法148条①(2))
③ ①及び②の延滞税。(破産手続開始決定の前に発生すると後に発生するとを問わない。) 

優先的破産債権 租税等の請求権であって、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じたものは、個別の規定によって財団債権又は劣後的破産債権とされるものを除くほかは、すべて優先的破産債権となる。

国税及び地方税には、一般的優先権あり。(税徴8、地税14)
「国税徴収の例によって徴収することのできる請求権」(破産法97条①(4))も、国税の固有の性質のものを除いて国税徴収に関する法規の一般的な準用を受けるという意味で、一般的優先権が認められる。 
劣後債権

① 破産手続開始後の延滞税等(法97(3)、99①(1))
財団債権である租税等の請求権について生じる延滞税は財団債権。
優先的破産債権である租税等の請求権の破産手続開始後の延滞税等のみが劣後的破産債権となる。

② 破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生じるもののうち、破産財団の管理、換価及び配当に関する費用等に該当しないもの。(法97(4)、99①(1)、148①(2))
ex.破産会社所有の建物が抵当権の実行により競売され、買受代金の全額を抵当権者が取得した場合の売却に伴う消費税。

③ 加算税等(法97(5)、99①(1))
cf.罰金は劣後的破産債権。(法97(6)、99①(1))

労働債権 財団債権 破産手続開始前3か月間の使用人の給料の請求権(法149①)
②破産手続終了前に退職した使用人の退職手当の請求権のうち、退職前3か月間の給料の総額破産手続開始前3か月間の給料の総額のいずれか多いほうの額に相当する金額(法149②)
給料 労働の対価として支払われるもの。
○賞与
○扶養家族手当て、残業手当等の各種手当
×実費弁償として支払われる出張手当のようなもの
×解雇予告手当(労働法上定められた特別の給付であり、労働の対価ではない。)
優先的破産債権 財団債権に該当しない労働債権 
未払賃金の立替払制度 制度 賃金の支払の確保等に関する法律に基づき、企業が「倒産」したために賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、その未払い賃金の一定の範囲について、独立行政法人労働者健康福祉機構が事業主に代わって支払う制度。
「倒産」 法律上の倒産:
破産・特別清算・民事再生・会社更生の開始について裁判所の決定又は命令があった場合。
中小企業における事実上の倒産:
事業活動に著しい支障を生じたことにより、労働者に賃金を支払えない状態になったことについて労働基準監督署長の認定があった場合。
①事業活動が停止し、②再開する見込みがなく、③賃金支払能力がない状態になったこと。
要件 使用者 ①労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業で1年以上事業活動を行っていたこと。
(法人、個人の有無、労災保険の加入手続の有無、保険料納付の有無は問わない。)
②法律上の倒産又は事実上の倒産に該当することとなったこと。
労働者 ①倒産について裁判所へ破産申立等(事実上の倒産の場合は、労働基準監督署長への認定申請)が行われた日の6カ月前から2年の間に退職していること。
破産手続開始の申立又は認定申請日:H21.4.12
6カ月前の日:H20.10.12(①)
2年目の日:H22.10.11(②)
①~②の間に退職した人が対象。
②未払賃金があること(但し、未払賃金の総額が2万円未満の場合は立替払いを受けられない。)
対象となる賃金  退職日の6か月前の日から機構に対する立替請求の日の前日までの間に支払日が到来している「定期賃金」及び「退職手当」で未払いのもの。
×賞与その他の臨時的に支払われる賃金、解雇予告手当、賃金に係る遅延利息、慰労金や祝い金名目の恩恵的又は福利厚生上の給付、実費弁償としての旅費等
対象となる未払賃金は、税、社会保険料、その他の控除金の控除前の額。
その他の控除金のうち、事業主の債権に基づき、当該賃金から控除が予定されているもの(社宅料、会社製品の購入代金、貸付金返済金等)については控除する。
請求期間 裁判所の破産等の決定又は労働基準監督署長の倒産の認定があった日の翌日から起算して2年以内。
立替払される額 未払賃金総額の8割。
退職日の年齢に応じて限度額が設けられており、未払賃金総額がその限度額を超える時はその限度額の8割。
45歳以上:未払賃金総額の限度額370万円、立替払限度額296万円
30歳以上45歳未満:220万円 176万円
30歳未満:110万円 88万円

異同 破産債権 財団債権 
破産手続内でのみ請求。 破産手続外で行使。
届出、認否、確定など破産法上の債権調査の対象となる。    債権調査の対象とならない。
(確定が必要な場合は訴訟による。) 
配当手続によらなければ弁済できない。  配当手続ではなく任意の方法で弁済できる。 
免責の対象となる。 免責の対象とならない。

否認権1(条文準拠)
破産者を害する行為の否認
法160条
対象  破産債権者を害する行為
・積極財産の減少
・消極財産の増大 
A
(①)
要件 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。
抗弁 これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知らなかった
B
(①)
要件 破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。
抗弁 これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害する事実を知らなかった
ABについて
(②)
破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるもの⇒その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分について、破産債権者を害する行為
C
(③)
要件 破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為
相当の対価を得てした財産の処分行為の否認
法161条
対象  破産者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、その行為の相手方から相当の対価を取得しているとき
要件
(①)
①当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、破産者において隠匿、無償の供与その他の破産債権者を害する処分(以下この条並びに第百六十八条第二項及び第三項において「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
②破産者が、当該行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
③相手方が、当該行為の当時、破産者が前号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。
相手方が次のいずれかの場合、悪意の推定
(2項)
①破産者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者
②破産者が法人である場合に、その破産者について次のイからハまでに掲げる者のいずれかに該当する者
イ破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
ロ破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を子株式会社又は親法人及び子株式会社が有する場合における当該親法人
ハ株式会社以外の法人が破産者である場合におけるイ又はロに掲げる者に準ずる者
③破産者の親族又は同居者
親族:配偶者、6親等内の血族及び3親等内の姻族が含まれる(民法725条)
特定の債権者に対する担保の供与等の否認
法162条
対象  既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為
A
(①) 
要件 ①破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。
②債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合
イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 
支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
ロ 当該行為が破産手続開始の申立てがあった後にされたものである場合 破産手続開始の申立てがあったこと。
悪意の推定規定(2項) ①債権者が前条第2項各号に掲げる者にいずれかである場合
②前項1号に掲げる行為が破産者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が破産者の義務に属しないものである場合
B
(①)
要件 破産者の義務に属せず、又はその時期が破産者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。
抗弁 債権者がその行為の当時他の破産債権者を害する事実を知らなかった
ABについて
(③) 
支払の停止(破産手続開始の申立て前一年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。
支払の停止を要件とする否認の制限(法166条) 破産手続開始の申立ての日から一年以上前にした行為(第百六十条第三項に規定する行為を除く。)は、支払の停止があった後にされたものであること又は支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。
定義 支払不能
法2条⑪
債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。
支払停止 弁済能力の欠乏のために弁済期の到来した債務を一般的、かつ、継続的に弁済することができない旨を外部に表示する債務者の行為。
・手形不渡り
・債務を一般的に支払えない旨の明示的な表示として債務者に対する通知
・夜逃げ
(伊藤p77)
行使 否認権の性質 一定の行為を否認する旨の破産管財人の意思表示によって、はじめて否認の効果が発生する。(形成権説) 
行使方法(法173①) ①訴えによる行使 
②抗弁による行使
③否認の行使請求による

否認権2
総論 趣旨 破産手続開始前の詐害行為・偏頗行為の効力を破産手続上否定し、処分・隠匿されてた財産を回復し、また債権者の平等弁済を確保する制度。 
対象 ①債務者の財産隠匿・処分に関する行為(詐害行為)
②一部債権者に対する優先的な弁済行為(偏頗行為)
一般的要件 有害性 破産債権者にとって有害である。
破産債権者の責任財産の確保および破産債権者間の公平の実現にかかわる概念。
不当性  行為自体が破産債権者にとって有害なものであるとみなされる場合であっても、その行為がなされた動機や目的を考慮して、破産債権者の利益を不当に侵害するものでないと認められるときには、否認の成立可能性が阻却される。 
ある行為が破産債権者にとって有害なものであっても、破産債権者の利益より優先する社会的利益、たとえば生存権(憲法25条)などの憲法的価値や、生命や健康の維持を目的とする事業の継続という社会的価値あるいは地域社会経済に果たしている事業体の役割等を考慮して、否認の成立可能性を阻却するための概念。
破産者の行為 法文から見ても、破産者の行為をまったく不要とするのは、解釈論として行き過ぎであるが、第三者の行為が債務消滅などの効果の点で破産者の行為と同視されるものであれば、否認が認められる。
詐害行為否認(法160①) 第1類型:時期を問わず詐害行為を対象とするもの。
 積極要件:①詐害行為②破産者の害意
 消極要件:害意についての受益者の善意
第2類型:支払停止又は破産手続開始申立て後の詐害行為
 積極要件:詐害行為の存在
 消極要件:支払停止等及び詐害についての受益者の善意
詐害行為
(共通要件)
破産者の責任財産を絶対的に減少させる行為。
ex.財産の廉価売却
詐害意思及び受益者の悪意(第1類型固有の要件) 破産者の詐害意思:
自らが実質的危機時期の状態にあること、および当該行為が責任財産を減少させる効果を持つことの認識。
消極的要件:
詐害、すなわち破産者の行為が責任財産減少につながることに関する受益者の善意。
形式的危機時期及び受益者の悪意(第2類型固有の要件) 形式的危機時期:
支払停止等の発生後になされたものについては、詐害意思は否認の要件にはされない。 
消極的要件:
受益者が、行為の当時支払停止等の事実および破産債権者を害する事実について善意であることを主張・立証した場合には、否認を免れる。
破産手続開始申立の日から1年以上前にした詐害行為は、支払停止後の行為であること、または支払停止の事実を知っていたことを理由として否認することはできない。(法166)
相当の対価を得てした財産の処分行為の否認 相当の対価をえてした財産の処分行為の否認。(法161)
そのための3要件
①不動産の金銭への換価等、財産の種類の変更によって破産者が隠匿、無償の供与その他の破産債権者を害する処分(隠匿等の処分)をするおそれを現に生じさせること。
②破産者が行為の当時隠匿等の処分をする意思(隠匿等処分意思)を有していたこと。
③隠匿処分意思についての相手方の悪意 相手方が行為の当時、破産者の隠匿処分意思について悪意であったこと。(証明責任は破産管財側)
行為の相手方が内部者である場合は、悪意を推定
(法161②)
(1)法人である破産者の理事等(会社法上の会計参与や会計監査人を含む)
(2)イ:株式会社の支配的持分権者
(2)ロ:株式会社の親法人
(2)ハ:株式会社以外の法人の支配的持分権者または親法人に準ずる者
(3)個人である破産者の親族又は同居者
偏頗行為否認(法162①) 支払不能又は破産手続開始申立てから破産手続開始までの時期を形式的危機時期とし、この時期になされた既存債務についての偏頗行為、すなわち担保の供与や債務の消滅にかかる行為については、破産者の詐害行為にかかわりなく、破産債権者にとって有害なものとされ、否認の対象とされる。(法162①) 
基本要件  既存の債務についてなさた担保供与又は債務消滅に関する行為(弁済(民474)、相殺(民505)、更改(民513)、代物弁済(民482)、免除(民519))。
担保供与は担保供与義務が存在する場合に限られる。
第三者から新たに借り入れた資金による弁済についても、否認肯定(判例)
同時交換的取引の除外:
偏頗行為否認野対象は、既存債務についての担保供与や債務消滅行為に限る。(法162①柱書かっこ書)
←新規に出捐して債権を取得する者については、従来の責任財産の平等分配を期待する既存債権者との間の平等を確保する必要がない。 
行為の時期 偏頗行為は、破産者が支払不能になった後または破産手続開始申立てがあった後のものでなければならない。(法162①(1)柱書本分)
支払不能とは、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」(法2⑪)
支払不能は支払停止(破産手続開始申立て前1年以内のものに限る)によって推定される。(法162③)
支払不能発生前に担保のための債権譲渡をし、支払停止などの事実が生じたことを停止条件として譲渡の効力を生じさせる旨の契約も、実質は支払不能後の担保供与行為と同視されるから、偏頗行為否認の対象となる。
受益者の悪意 以下の事実に関する受益者たる債権者の悪意の立証(法162①柱書但書)
①支払不能後の行為である場合には、支払不能又は支払停止について悪意。
②破産手続開始申立て後の行為である場合には、申立てについて悪意。
受益者が内部者(法161②)の場合には、支払不能等についての悪意が推定され、受益者が善意についての証明責任を負担する。(法162②(1))
支払不能後の偏頗行為で破産者の義務に属しないもの、またはその方法もしくは時期が義務に属しないものについては、支払い不能等についての悪意が推定される。(法162①(2))
支払不能前30日いないの非義務偏頗行為 ①行為自体が破産者の義務に属さない場合。
②時期が義務に属さない場合。
詐害的債務消滅行為としても否認の対象となりえるが(法160②)、非義務偏頗行為として否認の要件が緩和され、支払不能になる前30日以内の行為も否認の対象とする。(法162②本文)
受益者の悪意についても証明責任が転換される。(同但書)
集合物譲渡担保の否認 否認の対象 ①譲渡担保設定契約そのもの。
②対抗要件の具備。
③集合物を構成する個別的な動産・債権についての担保設定。
①について 偏頗行為否認の対象。
予約ないときに、譲渡担保設定契約を締結⇒法162①(1)(2)
予約あり⇒法162①(1) 
③について 担保権の成立または担保権の効力が及ぶ点では、破産者の行為による担保権の設定と同視される。
ex.譲渡担保権者の利益を図るために、人為的に在庫商品や売掛金債権を増大させる。
法160②の詐害的債務消滅行為の類推適用。
法162①(1)②の偏頗行為否認。 
無償行為否認 支払停止等(法160①(2)かっこ書)があった後、またはその前6月以内に破産者がなした無償行為またはこれと同視すべき有償行為は否認の対象となる。(法160③)
主観的要素(破産者の詐害意思や、支払停止等についての受益者の認識など)は不要

①危機時期において無償でその財産を減少させる破産者の行為がきわめて有害性が強い。
②受益者の側でも無償で利益をえているのであるから、緩やかに否認を認めても公平に反しない。 
ex.贈与(民549)、債務免除(民519)、権利の放棄など。
判例は、債務保証行為の無償性を肯定。
特別の要件 手形支払に関する否認の制限  手形の支払を受けた者が、支払いを受けなければ、債務者の1人または数人に対する手形上の権利(遡求権(手43、771④))を失うべき場合には否認の対象から除外される。(法163)
←手形の所持人としては、一方で、遡求権保全のためには支払を求めざるを得なず、他方で、支払を受けてもそれが否認されると遡求権を失うという二律背反状態におかれる。
二律背反状態が認められないときは、破産社たる振出人による弁済は否認され得る。
ex.
約束手形の所持人が同時に受取人である場合。
満期前の支払、支払呈示期間経過後の支払。
拒絶証書作成免除手形。
手形の買戻し 否認は制限されない。(判例・通説)
but
破産者が買戻手形にもとづいて振出人などから手形金の支払を受けているときは、買戻しによって破産者の責任財産が減少したとはいえないから、有害性の一般原則により否認は否定される。
否認が制限される場合 法163①の場合は否認が否定される。
これを予測する債権者が、支払停止等があったことを知り、または過失によってこれを知らず、破産者に約束手形を振り出させ、それを第三者に裏書譲渡して回収を図る。

その債権者から破産管財人に、第三者に対し破産者が支払った金額を償還させる。(法163②) 
対抗要件具備行為の否認  対抗要件具備行為についても、原因行為についての否認とは区別して、否認可能性が認められる。
支払停止等があった後に、権利の設定、移転または変更を第三者に対抗するために必要な行為等があった後に、権利の設定、移転または変更を第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む)がなされた場合に、その対抗要件具備行為が権利の設定などの原因行為から15日を経過した後に支払停止等を知ってなされた場合には、否認の対象となる。(法164①)
対抗要件具備行為が破産手続開始申立ての日から1年以上前であれば、支払停止後の行為であることまたは支払停止を知ってしたことを理由とする否認は許されない。(法166)
すでになされている仮登記(不登105)または仮登録にもとづいて本登記・登録がなされた場合は、否認は成立しない。(法164①但書)

仮登記などがされていれば、権利変動が公示されるから、後に仮登記などにもとづいて本登記などがなされても破産債権者の期待が害されるとはいえない。
詐害行為否認第1類型 制限説:対抗要件具備行為も破産債権者を害する行為として独立に否認の対象となりうる行為であるが、支払停止等後の行為であって行為者が支払停止等について悪意であることを理由に否認がされる場合には、原因行為から15日を経過する前になされた具備行為については否認を制限する趣旨。

支払停止前の対抗要件具備行為であっても、詐害行為否認第1類型の対象に含まれる。
執行行為の否認 否認対象行為について執行力ある債務名義があるとき、またはその行為が執行行為に基づくときにも、否認権の行使は妨げられない。(法165)
債務名義あり ①債務名義の内容である義務、たとえば金銭の支払義務や物の引渡義務を生ぜしめた破産者の行為を否認しようとする場合。
②債務名義を成立させる行為を否認しようとする場合。(ex.裁判上の自白、請求の認諾、裁判上の和解、執行受諾など)
③債務名義にもとづく権利の実現を否認しようとする場合。(ex.金銭執行による債権者の配当受領を否認、登記の移転を命じる判決に基づく院展登記申請を否認)
偏頗行為否認の可能性もある。(法162①)
執行行為 ex.差押債権者の申立てにもどづいて破産者の財産たる被差押債権について転付命令(民執159)が発令された場合。
転付命令にもとづいて、差押債権者がすでに弁済を受領⇒債権者の満足を否認して弁済金の返還を受ける。
第三債務者の弁済が未だなされていないか、または弁済金を供託⇒転付命令による被転付債権の債権者への移転自体を否認し、破産管財人が第三債務者に対して被転付債権の支払いを求める。
破産者の行為 詐害行為否認の第1類型において破産者の詐害意思が要求される場合は、詐害意思を推認させる破産者自身の行為またはこれと同視される第三者の行為が必要。
詐害行為否認の第2類型又は偏頗行為否認の場合、詐害意思が不要とされるから、効果において破産者の行為と同視される第三者の行為も否認の対象行為に含まれる。(破産者自身の行為は必要ない。) 
支払停止を要件とする否認の制限 破産手続開始申立ての日から1年以上前にした行為は、それが支払停止後の行為であること、または支払停止について悪意でなされたことを理由として否認することができない。(法166)
有害性が強い無償否認(法160③)は制限の対象外。
転得者に対する否認 認められる場合 ①受益者及び中間転得者のすべてについて否認原因が存在し、かつ、転得者が転得の当時、その前者に対する否認原因の存在を知っている場合(法170①(1)) 
②転得者が破産者の内部者(法161②)の場合。
ただし、転得者の側で、転得の当時それぞれ前者について否認原因があることを知らなかったことを立証したときは、否認の成立が阻却される。(法170①(2))
③無償行為またはこれと同視すべき有償行為によって転得がなされた場合には、それぞれ前者に関する否認原因の存在のみが要件であり(法170①(3))、否認原因に関する転得者の認識は問題となれない。
善意の転得者に対して否認が成立する場合には、現存利益の償還のみが義務付けられる。(法170②、167②)