シンプラル法律事務所
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論点整理(競争戦略)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

  マイケル・ポーター 
  論点 説明 コメント
ある産業における競争状況を規定する5つの要因  ある産業における競争状況を規定する5つの要因 @既存の競争相手
A新規参入の脅威
B供給者の競争力
C顧客の競争力
D代替製品/サービスの脅威
 
 新規参入の脅威(Threat of Entry)・・
6つの主要な参入障壁
@規模の経済(生産量の増大により単位当たりの生産コストが低減)
A製品の差別化(ブランド強化)
B資金の必要性
C規模と関係ない費用面での不利
・経験曲線は費用についての障壁⇒その高さは、競争にとって費用がどれだけ重要であるかによる。
・全く新しい経験曲線を作り出す製品/工程イノベーションによって無効となり得る。
D流通ルートへのアクセス
E政府の政策
 
強力な供給者顧客 供給者は、値上げ、商品/サービスの品質低下により、産業における利益を削減⇒価格を転化できない産業における利益を搾り取る。
顧客は、値下げ、商品/サービスの品質向上により、産業における利益を削減。 
 
代替製品が戦略的に注目される場合 @代替製品が価格と効果におけるトレードオフを改善する傾向にある場合。
A代替製品が高い収益力を有する産業によって生産される場合。
 
戦略の形成 @競争要因に対して最も防御できるポジションに会社をおく。
A要因のバランスに影響を与え、会社のポジションを改善する。
B新しい競争バランスに適合する戦略を選択することにより変化を利用する。
 
戦略とは何か  戦略とは  @異なる活動を行い、または
A類似の活動を異なる方法で行うこと。 
 
日本企業の傾向 @相互に模倣
A全ての製品/サービスを提供
⇒差異性が欠如。
オペレーション効率の優位性を失うにつれ利益が縮小。
 
目的に適合させて全ての活動を構築する。 事例1:サウスウェストエアライン
目的:特定タイプの路線で低コストで便利なサービスを提供
・特定のルート(長距離回避・中規模都市の空港)
・自由席のみ
・荷物の移動せず
・食事なし
・自動発券⇒エージェント不要
・航空機の統一⇒低コスト(メンテナンス)
低コストと一定規模の利用者が求める利便性を追及
事例2:イケア
ターゲット:低価格でスタイルに敏感な若い購入者⇒その需要を満たす。
・全商品を展示⇒顧客が見て判断する。
・当日持ち帰り
・チャイルドケア
・特殊な時間帯に開店
 
新たなポジションを見つける 戦略的競争:既存のポジションにおける既存の顧客を獲得し、新たな顧客を市場に導く、新しいポジションを見つけるプロセス。

専門店:多様な商品を扱うデパートからシェアを奪う。
メールオーダー:(見過ごされていた)便利さを求める顧客を獲得
イケア:無視され又は十分にサービスされていなかった顧客グループ
 
他分野からの参入者による新たなポジションの創造

事例:サーキットシティ(電化製品小売)の中古車市場への参入
・車の改装
・製品保証
・値引きなし
・社内ファイナンスの利用

新規参入者は、既存の活動とのトレードオフに直面しない⇒柔軟である。
 
 (社会)変化により新たなポジションが開かれる場合:
・新たな顧客グループや購入機会
・新たなニーズ
・新たな流通チャンネル
・新技術の開発
・新たな機械や情報システムの利用可能性
 
戦略的ポジションの源泉:
(相互に排他的ではない)戦略的ポジションの3つの源泉
種類ベースのポジショニング

特定の製品/サービスに特化。
特有な活動の組み合わせにより独特な製品/サービスをより良く作り出せる場合、戦略的に意味がある。

事例1:Jiffy Lube International:自動車オイル
・自動車オイルに特化(修理、メンテナンスは行わない)
・そのvalue chain(活動と競争優位の結びつき)は、低コストで素早いサービスを提供する。

事例2:Vanguard Group:ミューチュアルファンド
・成果が予測できコストがかからない、普通株、社債、マネーマーケットファンドを提供。
・継続的な相対的効果を求める投資アプローチ。
・売買高を抑える⇒コストを抑える。
・客にも頻繁な売買を抑えるようアドバイス⇒必要資金を抑える。
・一貫した低コストアプローチ。
特定の製品/サービスを求めるある程度の規模の顧客の存在が前提 
ニーズベースのポジショニング

特定グループの顧客のニーズの満足に特化するポジショニング。
ニーズを異にする顧客グループが存在し、特有な活動の組み合わせによりそのニーズをより良く満たすことができる場合、戦略的に意味がある。

イケア:ターゲット顧客(低価格でスタイルに敏感な若い購入者)の家具についての全ニーズを満たす。

同じ顧客が場合により異なるニーズを有する場合、ニーズベースのポジショニングの変形が生じる。(ex.出張と家族旅行)

ニーズを最適に満たす活動の独自性(当該独自の活動と他の効果とのトレードオフの存在)⇒意味あるポジショニング。

事例:Bassemer Trust Company:資産の維持・増加を求める、最低500万ドルの投資資産を有する顧客をターゲット
・少数顧客当たりの担当者⇒顧客に対応したサービス
・顧客の場所でのミーティング
・特有のニーズへの対応(投資管理、不動産管理、オイル/ガス投資の監視、競走馬や飛行機の説明)
・ローンは不要

その顧客層において最も高いリターンを達成。
トレードオフ:
Aの効果とBの効果が両立できない関係。(二兎を追えない関係)
 
アクセスベースのポジショニング

そのアクセスのために異なる活動が必要とされる場合
事例:Carmike Cinemas
20万人以下の都市でのみ映画館を運営
・小さい町⇒定型の低コスト映画館でOK.
・情報システムと管理方法⇒各映画館各1人のマネジャー
・集中購買、安い賃料/給料、固定費2%(業界平均は5%)⇒コスト優位
・小規模都市⇒個性的マーケティング(常連客。個人的つながりで客を集める。)
・主たる地位⇒フィルムを選択でき、配給者と有利な交渉。
(目的ではなく)業務の定型化とそれが発揮できる強みを把握⇒それが発揮できる場所に限定する
(サウスウェストエアラインと共通)
維持できる戦略:
ポジションはトレードオフ(一方を得るためには他方を犠牲にしなくてはならない)を必要とする。
航空会社は@食事を提供する(費用が上がり、離陸準備時間がかかる)かA食事を提供しないかを選択できるが、非効率性を伴うことなくその両方を選択することはできない。
Continentalは2つの方法(低コストとフルサービスルート)で競争しようとして失敗。
トレードオフでない場合には、二兎を追うことも可能。
むしろ、一貫した理念の下二兎を追うことで、ポジションが際立つこともある。 

トレードオフかどうかを的確に判断する必要。
 トレードフが生じる3つの理由

@イメージ/評判における矛盾:
2つの相容れないものを提供⇒信頼を失い、顧客を混乱させ、評判を傷つける。

A活動自体から生じるトレードオフ:
異なるポジション⇒異なる製品構成・設備・従業員態度・技術・経営システムを必要とする。

B内部調整における制約
ある方法での競争を選択⇒活動の優先順位が確定。
(全てのものを全ての顧客に提供⇒明確な枠組みなしに日々の経営上の決定を行う⇒混乱)
調和(fit)は、競争優位と維持可能性を進める  (種類ベース・ニーズベース・アクセスベースで)ポジションの選択⇒
@会社の活動と選択
A個別の活動をいかに行うか
Bいかに活動を相互に関係付けるか
を決定する。

事例:サウスウェスト
・給料の良いゲート作業員
・航空機の運行の妨げになる活動を行わない(食事なし、座席指定なし、荷物移動なし)
・航空機の運行を遅らせる混雑する空港を回避
・一定距離以下のルートに限定⇒航空機の統一

活動が調和し相互に強め合う⇒競争優位
 
(相互に排他的でない)3種類の調和

@各活動と全体戦略との一貫性
事例:Vanguard
全ての活動を低コスト戦略に一致させる。
低い取引回転率、高給のマネジャー不要、直接投資(ブローカーへのコミッション削減)、広告の限定(口コミに頼る)、費用削減にボーナスをリンク

一貫性⇒
・活動の競争優位の累積
・戦略を関係者(顧客、従業員、株主)に伝えやすくする
・方向性を強めその導入を高める

A活動間の補強
事例:Neutrogena
医療でのマーケティングとホテルでのマーケティングが相互に補強。
皮膚科医が推薦した石鹸を使用するよう一流ホテルにマーケティング。
一流ホテルで石鹸を使用した顧客⇒顧客は薬局で購入するか医者その石鹸について聞く。

事例:Bic Corporation
製造しやすい製品デザイン、低コストの工場、原価を最小するための積極的な購買、部品の自社製造。
店頭販売活動に頻繁なパッケージ変更、多くのテレビ広告は、相乗的に購入刺激を刺激する。

B努力の最適化
事例:Gap(カジュアル衣料の小売)
店での入手可能性をその戦略の重要な要素と位置づける。
基本となる衣料を3つの倉庫から毎日配送⇒店での在庫の必要性を最小化。少ない色での基本アイテム。
⇒回転率の高さ。

・活動間の調整と情報交換⇒努力の重複を無くす
・製品デザインの選択⇒アフターサービスを低減させ、顧客によるメンテナンスを可能にする。
・供給者/販売先との調整⇒会社内での活動を削減。
 
調和と維持可能性

活動間の調和⇒
@競争優位の強化とその維持可能性が高まる
(←全体を模倣することはできない。)
Aオペレーション効率改善のインセンティブ
(←活動の改善/非効率性は他の活動効果の増進/削減につながる。)

模倣困難⇒最高の活動システムを構築する勝者が全てを獲得する⇒同じポジションにおける2番手でいるより新たな戦略的ポジションを見つけることが望ましい。
 
戦略の再発見 戦略の脅威
@外部要因(技術変化、競争者の態度)
A内部要因(誤った考え方、組織的失敗、成長願望)
 
選択の失敗
@オペレーション効率追及の専念
・具体的に測定可能なパフォーマンス⇒魅力的
・他企業の情報⇒ベストプラクティスを強いる。

A世間の常識
全ての顧客ニーズに奉仕し、全ての流通チャネルに対応しなくてはならないという誤解。

B組織の現実
・選択を誤るリスクより選択しない方が好まれる。
・ライバルの模倣。
・新たな権限を与えられた従業員は、全社的視点とトレードオフを意識しないまま、あらゆる面での改善を指向。
 
戦略との再結合

最初は明確なトレードオフに基づくユニークな戦略的ポジションのため成功。
but
時間の経過・成長への圧力・製品の多様化・新しい顧客グループへのサービスの提供・ライバルとの競争⇒明確な競争ポジションの喪失。

戦略との再結合に向けてのアプローチ:核となるユニークさの検証
・最も独特な製品/サービスは何か
・最も収益性のある製品/サービスは何か
・最も満足している顧客は誰か
・最も収益性のある顧客、チャンネル、購入機会はどれか
・価値連鎖における最も異なり効果的な活動は何か

核となるユニークさに外皮が堆積⇒それを取り除き、基礎となる戦略的ポジショニングに焦点を絞る。
 
成長トラップ
成長願望は戦略に最も悪影響を及ばす。
・低価格での広範なターゲット戦略⇒特性/サービスに敏感な顧客を失う。
・差別化指向⇒価格に敏感な販売を失う。
・売上増加の誘惑⇒戦略ポジションを曖昧にする⇒製品や顧客について有していた競争優位を破壊する。
・同時にいくつかの方法での競争⇒混乱を招き、組織的動機付けと集中を侵食する。(売上げは増えるが利益は減る。)
 
収益性のある成長
戦略を維持し強める成長へのアプローチ
戦略的ポジションの(拡大ではなく)深化に集中する。
ライバルにとって不可能/コストがかかる特性/サービスの提供による既存の活動システムの強化(補完性故に可能/コストがかからない活動、特性、競争形式を見つける。)

ポジションの深化:活動をより異ならせ、調和を強め、戦略を(それを評価する)顧客に適合させる。

×戦略への適合のない、目立つ特徴、製品、サービスを加えることによる成長の追及。
×特別なサービスを提供できない新しい顧客や市場をターゲットにする。

グローバリゼーション⇒戦略に適合した成長を可能にし、絞られた戦略のためにより大きな市場を開く。

業界内での拡大による成長を目指す場合は、独自のブランドを活動を有する独立部門を設ける。(デザイン・製造・顧客サービスの共通化⇒同一化の罠に陥る。)
 
リーダーシップの役割
経営者の役割は戦略(方向性)の定義
・会社の独自なポジションを定義し伝達し、トレードオフを行い、活動間の調整を行う。
(戦略とトレードオフに抵抗する多くの力の存在⇒戦略を導く明確な枠組みが必要。)
・組織の注意分散を回避し、会社の独自性を維持しながら、会社が応えるべき産業変化と顧客ニーズを決定する規律を提供する。
・活動間の調和を強めながらそのユニークさを拡張する継続的努力が必要。
・大きな構造的変化がある場合、戦略を変える必要があり得る。

@明確なトレードオフに基づく独自のポジションの定義。
A調和の強化。
Bそのユニークさの拡張。